お金はお金のあるところに集まるとか、金持ちほどより金持ちになるとかよく聞きますが、ピケティのr>gで裏付けされている事象のようです。
なんとなく正しそうだという感覚はありましたが、r>gとは何ぞやということを知らなかったので学んでみました。
原書は分厚く途中で読むの挫折する人が結構多いようで、管理人は正確にピケティの考えと読み取りたいという程の強い目的もなかったため、入門書を読んでの理解を簡単にまとめました。
資産を持っている人がさらに金持ちになり格差拡大
人類の歴史を2000年ほど振り返り、資本収益率「r」は経済成長率「g」よりも大きいというのがピケティが膨大なデータから導き出した結論だそうです。
例えば、多額の株式を遺産相続したら何もしなくても多額の配当が入ってくるため悠々自適に生活できますが、一般労働者は働いても働いても資産家の配当額を超えられないといったことです。
さらにその差は年々広がっていくというので世知辛いことです。
FIRE本や金持ち父さん貧乏父さんで資産を持ちなさいと言っているのは、働いて稼ぐ効率よりも資産からお金を産み出す効率の方が良い仕組みに社会がなっているからということですね。
世界では6分の1の「富める者」と残りの6分の5の「貧しき者」との差は開くばかりだそうです。
日本は欧米ほど超高所得者も超低所得者もいないですが、正規社員と非正規社員との間で所得が2極化して格差は拡大しているとのことです。
平成時代の新自由主義は、金持ちをより金持ちにして格差を拡大するのに貢献してきたようです。
格差拡大とそこからくるデフレスパイラルの話は「紙幣を蒔くだけでは日本のデフレは止まらない」で記事にしています。
1910年代~2010年代だけはr<gと逆転している理由
2000年間r>gの関係が続いていますが、rを税引き後の金額で見ると1910年代~2010年代だけはr<gと逆転していたそうです。
要因は下記と分析されています。
- 2度の世界大戦によって、工場・農地・有形資産といった物理的資本が大量に破壊された
- 国家が戦費調達のために多額の税金を徴収した
資産がお金を産み出すとはいえその資産の全体量が減少して、さらに金持ちから多額の税金を強制徴収することで格差が縮小され、相対的に働くことの金銭的価値が上がっていた時代ということのようです。
日本も高度経済成長の時代は、国はどんどん豊かになり、給与もガンガン上がり、インフレ率も高いという状況でした。
このようなときは資産家でも働いた方がお金を増やす効率が良く、労働が報われる時代であったと言えます。
今は物理的資本が復活して大量にあり、金持ちは政治に関与して金持ちに有利なルールを施行させるため、r>gに戻りそして継続することが予想されます。
資本主義が大分変なことになってる気がするというのは「お金を稼ぐため働くことに辟易する資本主義の闇」で記事にしています。
人類の経済成長率は1900年くらいまでは1%に満たなかったが、直近100年は平均4%と驚くべき程高くなっているとのことです。
直近50年くらいの世界が身近なので勘違いしてしまいやすいですが、今の経済成長の速さはイレギュラーだと捉えた方が良さそうです。
逆にこのままの速度で経済が成長し続けると自然を破壊しつくし人類が滅亡するんじゃないかと恐れ、出てきたのがSDGsなのだろうと思います。
そのSDGsも経済上の金もうけのバズワードとして利用され始めなんだかなって感じを醸し出していますけど。
アベノミクスは格差を助長し日本の経済成長率を下げる
ピケティの著書に書かれているわけではないですが、来日したときにアベノミクスは格差を助長し日本の経済成長率を下げる可能性があるとコメントされたことがあるそうです。
日本企業の株価が上がっても配当は余り増えず、社員の給与は増えないどころか減っており、物が売れなくなり企業の国内での売り上げが減るという悪循環。
日本全体で貧乏になっているのに、その中での格差が広がるというのがやるせないところです。
まとめ:r>gの経験則
人類の歴史を2000年ほど振り返り、資本収益率「r」は経済成長率「g」よりも大きいというのがピケティが膨大なデータから導き出した結論でした。
良い悪いは置いておいて、これが世界の仕組みになっているということなのでしょう。
仕組みを把握した上でどう振舞うかは価値観次第だと思います。
お金がないのは不幸ですが、お金が増えても幸福になるとは限りません。(幸福度は頭打ちになるというデータを見たことがあります)
お金を増やしたければ資本収益を得られるようにしていくのが効率的ですし、もしかしたらr>gを全く気にしなくて生きていける状態に達するのが幸せだったりするのかもしれません。
年収90万円の生活をハッピーに感じられたら無敵だよなと思った本の感想記事を最後に沿えます。
YouTube大学で中田さんがこの著者のことを羨ましく思うと言っていたのに共感しました。
「年収90万円で東京ハッピーライフ」は目から鱗な内容した。
自分だ稼いだお金で生活して自尊心を保てていれば、稼いだ金額の量は幸福度と関係ないないって事例なんですよね。
嫌なことをしたくないだけで、金持ちになりたいわけでも無いので、有用な思想書https://t.co/KqCRkPw73n @YouTubeより— みかかFIRE@2023年FIRE目標 (@MikakaFIRE) July 11, 2021