J-REITの期待リターンと期待分配金額の算出 3.4%越えたら動く?

投資

J-REITの購入タイミングを図っており、期待リターンと期待分配金額を算出しました。

東証REIT指数の値動き連動するMAXIS Jリート上場投信の実績データを使っています。

この指数に連動する上場投信の中では、2023年1月時点で信託報酬が最も安かったのでこちらを選定しています。

 

長い記事になったため、算出した結論を先に書いておきます。

  • 2022年12月8時点での期待配当金は6,763円(100口あたり)
  • 利回り3.4%を超えることは少ない(ざっくり25%以下)ので、ここまで価格が下がれば購入を検討してよいタイミングと思える
  • 利回り3.4%で逆算すると基準価額は198,191円(100口あたり)以下となる(2022年12月8日時点)

この価格を下回ったら即購入というわけではありませんが、そろそろ購入しようかと身構えるためには良い指標になるのではないかと考えています。

 

期待配当金の算出において、直近1年の配当金を合計するだけよりも、直近3年の配当金を平均した方が金額の上下幅が小さいので信頼できそうだ等と上記の結果には前提を置いてます。

詳細は本文をお読みください。

なぜJ-REITに投資するのか

REITは投資者から集めた資金で不動産への投資を行い、そこから得られる賃貸料収入や不動産の売買益を原資として投資者に配当する商品です。

株式のみに資産を集中させるとリスクが上がるため不動産も持ちたいところですが、ワンルームマンションとかアパート1棟とかを自分で持つのは1つの金額が大きすぎ、そちらでのリスクが上がってしまいます。

REITであれば多くの不動産を扱っている投資法人に投資ができるため、自分で不動産を所有することと比べるとリスクをかなり小さくできます。

↓東京証券取引所のJ-REITガイドブック(しっかりした内容のため長文)

https://www.jpx.co.jp/equities/products/reits/reports/tvdivq0000007ago-att/J_J-REIT_guidebook_20191227.pdf

 

資産分散のためにREITは魅力的な商品ですが、リターンが米国株式と比べると低いという性質があります。

私の目標ポートフォリオに占めるJ-REITの割合は3%としています。

 

  • 円建ての資産とドル建ての資産を5:5とする
  • 投資さんは全資産の60%までとする

この方針から、外国株式インデックスを50%、日本株式インデックスを7%、J-REITを3%と設定しました。

詳細は以下で記事にしています。

MAXIS Jリート上場投信の価格で算出

購入するのは個別のJ-REITではなく、東証REIT指数の値動き連動する上場投資信託としています。

これから値動きを算出していくのも、東証REIT指数ではなく実際に購入する上場投資信託の金額で実施していきます。

 

MAXIS Jリート上場投信は信託報酬が値下げされて、2023年1月時点で東証REIT指数に連動する上場投資信託の中では最安の0.145%(税抜)となっています。

eMAXIS Slimインデックスのシリーズは好んで買っているため、J-REITもMAXISにしようと考えています。

そのためMAXIS Jリート上場投信の価格で算出をおこなっていきます。

(東証REIT指数に連動することが目標とされているため、基本的にはどの上場投資信託で算出しても結果はほぼ同じになるはずです)

信託報酬が0.155%(税抜)のものは下記などがあります。
・One ETF 東証REIT指数
・NEXTFUNDS東証REIT指数連
・ダイワ上場投信-東証REIT指数

 

分配金の推移

MAXIS Jリート上場投信の設定来の基準価格と分配金のデータを公式サイトからCSVでダウンロードできます。

100口の金額データとなっているため、ここから先の値は全て100口あたりのものになります。
1口あたりの金額を表示している証券会社で見るときは、桁を調整してご覧ください。

四半期毎の分配金をグラフにすると以下になります。

これだと分配金の多い四半期と少ない四半期が交互にやってきて、年数経過とともに分配金が増えているのか分かり辛いです。

そこで直近1年(4回の分配金)の合計を見るグラフに変えてみます。

だいぶ推移が見やすくなりました。

長期的には分配金は上昇傾向にあるようです。

ただコロナショックのときには分配金が大きく減少しており、金額の上下の変動(ボラティリティ)が高く感じます。

もう少し上下の変動が少ない推移を見たいため、直近2年の合計を平均した金額と、3年、4年の金額も算出してみます。

直近2年の合計を平均した場合(グラフの赤線)は、1年のものよりコロナショックでの分配金下落の影響が小さく見えています。

直近3年の場合(グラフの黄線)だと、コロナショックの下落の影響は見えなくなり、分配金の推移は単調増加となっています。

直近4年の場合(グラフの緑線)も分配金の推移は単調増加なのですが、昔の分配金が低かったときの価格と平均を取っていてるため、推移の増加の傾きが急になっています。

 

結果論ですが、2021年1月1日時点の分配金額は直近1年(青線)と2年(赤線)では高くなっていて、4年(緑線)だと安くなっていたため、直近3年(黄線)で分配金を観察していたら丁度よかったとなります。

金額の変動幅を比較しやすいように、スタート地点を合わせたグラフも作りました。

直近1年(青線)と2年(赤線)だと下落が起こり、4年(緑線)だと上昇の角度が急すぎる(=現在価格を低く見積もり過ぎ)ということが、このグラフで顕著になっています。

分配金を長期間で平均した方が分配金の価格変動を吸収できますが、4年以上だと厳しく見積もって分配金を低く算出してしまうので、傾向を掴む目的では3年で平均とるのが良い塩梅のようです。

 

ちなみにボラティリティ(金額変動の度合い)を計算すると、3年の場合が一番小さくなっています。

期間 ボラティリティ
直近1年の合計 4.19%
直近2年の合計÷2 2.77%
直近3年の合計÷3 2.29%
直近4年の合計÷4 2.37%

 

直近3年の合計でみた分配金の推移

あらためて直近1年の分配金合計と、直近3年の合計÷3を比較したグラフです。

3年で推移を見た方が価格変動幅がマイルドになっています。

グラフの元数字は以下です。

基準日 直近3年の分配金合計÷3(円) 直近1年の分配金合計(円)
2017/03/08 4,987 5,510
2017/06/08 5,137 5,530
2017/09/08 5,280 5,750
2017/12/08 5,373 5,900
2018/03/08 5,600 6,000
2018/06/08 5,633 6,080
2018/09/08 5,793 6,220
2018/12/08 5,797 6,220
2019/03/08 5,983 6,440
2019/06/08 6,020 6,450
2019/09/08 6,227 6,710
2019/12/08 6,290 6,750
2020/03/08 6,417 6,810
2020/06/08 6,490 6,940
2020/09/08 6,613 6,910
2020/12/08 6,633 6,930
2021/03/08 6,657 6,720
2021/06/08 6,670 6,620
2021/09/08 6,713 6,520
2021/12/08 6,700 6,420
2022/03/08 6,677 6,500
2022/06/08 6,690 6,510
2022/09/08 6,773 6,890
2022/12/08 6,763 6,940

 

期待利回りの算出

通常利回りは、直近1年の分配金合計をそのときの上場投資信託の価格で割った値が採用されています。

ただ、これまで見てきたように直近1年の分配金合計は変動幅が大きいため、それで計算した利回りの変動幅も大きくなってしまいます。

期待利回りは変動幅が小さい方が管理人は信用しやすいため、直近3年の分配金合計の平均を使って利回りを算出してみました。

 

年利の最小値は2.76%で最大値は3.82%。

中央値は3.2%のため、タイミングを図って購入するならばこの年利は越えたいところとなります。

年利(分配金3年平均) 年利(分配金1年)
最小値 2.76% 2.98%
第1四分位 3.07% 3.13%
中央値(第2四分位) 3.20% 3.38%
第3四分位 3.34% 3.50%
最大値 3.82% 4.00%

 

年利の値を度数分布図(ヒストグラム)にすると以下となります。

年利が3.4%を超えることは少ないので、これくらいが購入判断のラインとなりそうです。

 

グラフの元数字は以下です。

基準日 基準価額(円) 年利(分配金3年平均) 年利(分配金1年)
2017/03/08 180,654 2.76% 3.05%
2017/06/08 176,435 2.91% 3.13%
2017/09/08 168,797 3.13% 3.41%
2017/12/08 167,902 3.20% 3.51%
2018/03/08 169,211 3.31% 3.55%
2018/06/08 175,915 3.20% 3.46%
2018/09/08 176,859 3.28% 3.52%
2018/12/08 184,948 3.13% 3.36%
2019/03/08 186,143 3.21% 3.46%
2019/06/08 195,603 3.08% 3.30%
2019/09/08 215,464 2.89% 3.11%
2019/12/08 221,960 2.83% 3.04%
2020/03/08 207,705 3.09% 3.28%
2020/06/08 178,394 3.64% 3.89%
2020/09/08 174,474 3.79% 3.96%
2020/12/08 173,421 3.82% 4.00%
2021/03/08 193,291 3.44% 3.48%
2021/06/08 218,946 3.05% 3.02%
2021/09/08 218,911 3.07% 2.98%
2021/12/08 209,504 3.20% 3.06%
2022/03/08 190,687 3.50% 3.41%
2022/06/08 206,250 3.24% 3.16%
2022/09/08 205,971 3.29% 3.35%
2022/12/08 198,191 3.41% 3.50%

まとめ:J-REITの期待リターンと期待分配金額の算出

東証REIT指数の値動き連動するMAXIS Jリート上場投信の実績データを使って、期待リターンと期待分配金額の算出をおこないました。

期待リターンは直近1年の金額でみるより、直近3年の金額を平均した値でみる方がそのときどきの価格変動に振り回されることが少ないだろうと考えられます。

 

直近3年の分配金で利回りを計算すると中央値が3.2%のため、少なくともこの利回りを超える利率となる価格に落ちるまでは購入は避けたいところです。

利回り3.4%を超えることは少なくなってくる(ざっくり25%以下)ので、ここまでMAXIS Jリートの価格が下がれば購入を検討してよいタイミングと思えます。

 

2022年12月8時点での直近3年配当金の年平均は6,763円でした。
利回り3.4%で逆算すると価格は、198,912円になります。

2022年12月8時点の基準価額は198,191円で上記を下回っているため、購入を検討してもよいタミングであると思えます。

 

もちろん購入価格は安ければ安いほどお得なわけですが、あまり欲張ると価格が上がってしまい購入機会を逃します。

どこまで安くなったらいくら買うのか作戦を立てるとのは、難しくもあり面白いところでもあります。

長い記事に最後までお付き合いいただきありがとうございました!

 

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