日本経済史とバブル【書評:やりなおす経済史】②

経済

「やりなおす経済史」を読んだ記事②です。

記事①ではアメリカ経済史を扱いましたが、今回の記事②では日本経済史に関してです。

石油危機や押し付けられた円高などの外部要因によって日本経済がどう変遷してきたかを学びなおせて勉強になりました。

金余りがバブルを引き起こすことは世界共通の事象で、この先何度でも起こりうるので織り込んで資産運用をしていかないといけないなと改めて考えさせられました。

 

【本書から得たFIREへの教訓】

  • 日本企業の新陳代謝が起こらないので好景気になるきっかけがない
  • 企業が成長していないのに株価がバブル期まで戻ったことをどう捉えるかは難しい

 

 

↓一部、以下の書籍の内容も参考にして書いています。

1970年代

1960年代の高度経済成長の名残りで前半は好調でした。

(高度経済成長期は給与が上昇していましたが、それ以上にインフレが強かったため家計は苦しかったようですが)

 

しかし第一次石油危機で重化学工業が壊滅的なダメージを受けて、日本経済は死に体となりました。

その後、車や家電の企業が育ちます。

 

1980年代

1980年代前半は、第二次石油危機で世界同時不況の中、日本だけは車と家電の輸出が好調で景気がよいという状況でした。

重化学工業が早めに崩れて新陳代謝が起きていた結果です。

 

アメリカだってずっと好景気なわけではなく、車や家電で日本・ドイツに追いこまれたから今は金融とITで盛り返している分けで、好景気は基本的には順繰りにまわってくるものなのだと思います。

今の日本が問題なのは、死に体の企業がゾンビとして残っているために新陳代謝が進まず、好景気の循環から外れてしまっていることだと考えます。

 

↓ジム・ロジャーズが著書「危機の時代」で日本のゾンビ会社化について語っています。

 

1980年代後半は、不況のアメリカ経済、ヨーロッパ経済を救済するために円高を押し付けられます。

アメリカの舎弟日本はいつの時代も逆らうこと叶わずです。

円高の影響で、当然好況だった車と家電の輸出は弱まります。

 

日本が不景気になることを見越して、企業に資金が回るように日銀は公定歩合を引き下げました。

ところが日本企業各社は自力で立ち直りました。

円高により輸出による利益は減りましたが、海外の労働者を安く使えるようになったので、工場の海外進出でコストの削減ができたためです。

 

日銀が市中にお金を蒔きましたが、日本企業は自力回復で借り入れを必要としておらず、金余りの状態になりました。

余ったお金は株式と土地に流れ込みました。

企業融資以外の余り金がダブついら、間違いなくバブルは起こる

世界中、どこでも同じ現象が起こっていますね。

 

1990年代前半

1990年代前半は、経済が好況なのにインフレにならないという稀な状況でした。

通常なら好況で需要が高まれば物の値段は上がるのですが、円高の影響で海外から安い物が入ってきていたので物価は安定していました。

 

1990年末に株式バブルは崩壊し、価格は4割落ちました。

管理人
管理人

そこから元の株価に戻るまで30年強、他国と比べると時間かかり過ぎだったんじゃないかという感じもします。
ただ他国の株価の上がり具合の方が幻だという可能性もあるので難しいところです。

 

土地の値段の方はまだまだ上がり続けていました。

これ以上の地価の高騰はマズイと日銀が公定歩合は引き下げたところ、1993年に土地もバブル崩壊で値段が暴落しました。

冷静な状況で振り返れば、余り金を原因とする株価のバブルが崩壊済みなのだから土地もバブルだと分かりそうなものですが、当時は土地の値段は永久に上がり続けるという神話が語られていました。

 

いや、誰しもいつかバブルが崩壊すると気付きながらも、自分だけは売り抜けられると過信していたのかもしれません。

国も国民に不人気な財政再建には手を付けず、バブルを放置していました。

 

この当時の銀行の強引な土地への融資は目に余るものがあります。

このような企業は潰れてしまった方が世の中のためになるのではないかとすら思えます。

 

1990年代後半

バブル崩壊後の不景気を脱却するために、日銀はバブルの頃よりも低い公定歩合まで引き下げます。

ところが市中にお金が回らず、景気は回復しません。

 

銀行は企業にお金を融資するどころか貸し渋りをしていました。

欲に目がくらんで土地のバブルに乗っかって融資したこともダメでしたが、企業に融資をしなくなってしまっては銀行の存在価値そのものがなくなります。

 

公定歩合が低いとまたバブルが起きそうなものですが、バブルのトラウマは大きくむしろ株価は低空飛行を続けるという地獄の20年を過ごすことになりました。

 



まとめ:日本経済史とバブル

高度経済成長後の不況は、重化学工業が一層され車や家電の企業に新陳代謝が行われることにより復活しました。

今の日本は死に体の企業をゾンビのように延命させ、新しい企業も出てきにくく、好景気の循環から取り残されているように思えます。

このままだと安いニッポンとなって、外国からただただ買いたたかれるだけの国になってしまいます。

 

日銀の公定歩合引き下げによる金余りを契機に、1990年代の株価と土地のバブルは起こりました。

企業の成長やインフレとは関係なく、単に価格があがっていくのはバブルの兆候であり、歴史上崩壊せずに済んだ試しがありません。

日本はバブルのトラウマが激しく株価が戻るまでに30年強かかりましたが、この先はどうなるのでしょうか。

株価が30年停滞していたことが異常だったのかもしれませんし、コロナ禍で実体経済とは離れて株価が上がっているのが異常なのかもしれません。

 

日本に住んでいるので日本株(TOPIX連動インデックスファンド)をドルコスト平均法である程度購入してはいますが、日本は長期での成長を期待するには脆弱であると考えさせられます。

 

【本書から得たFIREへの教訓】

  • 日本企業の新陳代謝が起こらないので好景気になるきっかけがない
  • 企業が成長していないのに株価がバブル期まで戻ったことをどう捉えるかは難しい

 

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