FIRE後に働きたくなるのは確実か?【原因と結果の経済学】

ビジネス

FIREしても結局暇で仕事をするようになるという話をよく耳にします。

しかしFIREしたら公開された場に出てくる必然性はなくなるため、FIRE後に仕事を再開した人だけが目に付くところにいるだけかもしれません。

『原因と結果の経済学』を読んでそんなことを思ったので、本の感想をまとめます。

相関関係と因果関係

2つのデータが同じ動きをしている(相関がある)と、どちらかが原因でもう一方の結果に繋がっている(因果関係がある)と思ってしまいがちです。

しかし、例えば似た動きをするデータに以下があるそうです。

  • スタジオジブリの映画がテレビ放映されたタイミングでアメリカの株価が下がる

この2つに関係性はないため、数多あるデータの中から偶然似た動きをしていたデータが持ち出されているに過ぎない、見せかけの因果関係となります。
この例は極端なので騙されにくいですが、世の中には見せかけの因果関係の情報が多々あるそうです。

偏差値の高い大学にいくことと賃金の高さに因果関係はあるか?

卒業した大学の偏差値のデータと就職時の賃金の高さのデータに相関があると、偏差値の高い大学に入ると賃金の高い会社に就職できると考えてしまいそうです。
しかし因果関係があるかを知るには、事実における結果と、反事実における結果を比較する必要があります。

この本では、下記などの複数の共変量で偏差値の高い大学と低い大学に入学したグループの間での賃金の差を調べていました。

  • 年齢
  • 人種
  • 生まれた場所
  • 学力テストの成績
  • 出身高校の規模
  • 出身高校の教育の質
  • 両親の学歴と職業
  • 子供の頃の新聞購読や図書館利用の有無

調査結果は、卒業後の賃金に統計的に優位な差はなかったとのことです。
つまり給料の高い会社に就職できる人は、偏差値の高い大学でも低い大学でも賃金は高くなり、ただ高い大学に進学することが多かったということです。

上記の共変量を満たしていない子供を偏差値の高い大学に入学させても、賃金は高くならないということです。

偏差値の大学に入れさえすれば安泰と考えて付属の幼稚園お受験が盛んだったりしますが、このような考え方の親の元で子供が高賃金となるだけの能力を得ていけるのでしょうか。

管理人
管理人

他人事ながらちょっと心配になってしまいます。

FIREした人と仕事に復帰した人の因果関係

FIREしたけど仕事に復帰しましたという人は見かけますが、FIREした人がどれだけいるか分からず、FIREして仕事しないまま過ごしている人がどれくらいいるのかも未知数です。

見えている情報だけで、因果関係がある、FIREしてもやっぱり働きたくなるんだと考えてしまうのは根拠が弱そうです。

経済学では因果関係を示唆する根拠のことを「エビデンス」と呼ぶそうです。
単なるアンケート結果や、単に相関関係を示したのにすぎない分析のことをエビデンスとは呼びません。
FIRE後に仕事復帰するか問題はエビデンス不足という結論になります。

まとめ:FIRE後に働きたくなるとは限らない

『原因と結果の経済学』を読んで、世の中には見せかけの因果関係で勘違いさせられてしまうことが多いと学びました。
FIRE後に働きたくなるというのは見せかけの因果関係なのかどうか、エビデンス不足により判断するのは時期尚早と思いました。
ご隠居として趣味に生きるFIREもあり得るかもしれないと候補に含めて、管理人のFIRE計画を進めていきます。

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