FIREを目指すにあたり、まずはお金の価値が絶対であるという洗脳から逃れることが必要になると考えます。
そうしないと死ぬまでに使えきれない額のお金をひたすら増やすために、他の事を犠牲にして働き続けてしまうからです。
FIREの4%ルールの前提として、資本主義社会が存続し経済が成長し続けることがあり、アメリカの大量消費が経済を牽引しています。
しかしアメリカ国民は多額のクレジットカードローンにより大量消費を維持しており、サブプライムローン崩壊のようなことが行らないかは動向を見守った方が良さそうです。
「君は1万円札を破れるか?」を読み記事にしました。
本書の概要
「君は1万円札を破れるか?」とはかなりキャッチ―なタイトルと思います。
お金の本質は「これに価値がありますよ」という発信者がおり、受信者であるみんながそう信じ込まされているだけの情報
と書かれていました。
『国家が法律で価値を規定し、納税をその通貨で行わせることで、強制的に通用力を持たせているだけ』であると。
通貨の価値の根拠は信用だけと。
「奇跡の経済教室」の著者は『お金の教科書では「お金はみんなが価値があると信じているから価値がある」となっていますが、納税を自国通貨で支払うように規定しているから価値がある』と書かれていました。
同じ事柄への見解が違うのは興味深いところです。
本書では、私たちはお金には絶対的な価値があるという洗脳を受けていると書かれています。
資本主義社会の元、お金の奴隷になってしまっていると。
お金があたかも商品のごとく市場で売り買いされていることは虚妄であるという話は「資本主義はなぜ自壊したのか」で出てきていました。
お金は本来、何かを購入するときに価値が発揮されるもののはずですが、いつの頃からかお金を所有している事に価値があると刷り替わってしまっています。
煩悩を満たすためだけに資産を形成するのは、なんとくだらないことかと書かれていました。
資本主義社会はお金がお金を生むという崩壊へのチキンレースを続けています。
現代人として快適に生きていくために本当に必要な物を見極め、それに見合うだけの生産性にダウンサイジングすれば良いのではないかと著者は提言されていました。
FIRE思想は、コマーシャルに煽られて不要な物を買うようなことは辞め支出を最適化し、労働力を搾取される資本主義の仕組みから半分抜け出そうというもののため、著者の価値観と合致するところがあると感じました。
日本人は今も昔も優秀な奴隷
日本の幸せな時期として語られる「一億総中流」の時代がありました。
しかし中流の定義もないまま、この言葉だけが独り歩きしていると書かれています。
イギリスで中流階級といえば、働かなくても生活できる人かそれなりの社会的地位を得ている人のことだそうです。
日本の中流はイギリス階級では労働者にあたります。
奴隷とは、労働に対して正当な報酬が与えられていない存在のことで、日本人は昔も今も一億総奴隷だという感じなのでしょうか。
お金がないと生きていけないと信じ込まされて、安い賃金で死ぬまでこき使われるとは残酷な世界です。
「年収90万円でハッピーライフ」の著者:大原扁理さんは、お金至上主義の洗脳から解放されているので、学ぶところの多い方です。
金融の暴走
金融・証券業の発達によって、それ自体はなんら生産を行わない「利子生み資本」が、いつの間にか資本主義の中心に居座っていましたとあります。
世界のあり方としてどうにも歪だとは思いますが、FIREするためにはこの仕組みを利用しようということになります。
労働よりも、資産が資産を産み出す速度が速いというr>gに関して以下の記事に書いています。
金融経済と実態経済の乖離が拡大しています。
1990年代の乖離は1.7倍だったのが、2011年には3倍まで大きくなっています。
FIRE(経済的自由を手に入れて嫌な仕事を早く辞める)の4%ルールの前提として、資本主義社会が存続し経済が成長し続けることがありますが、株価は気にし過ぎないために放置したとしても、世界の経済の動向は警視する必要があると改めて感じました。
財政破綻とは
日本国の借金が増えたら財政破綻すると言われていますが、政府が破綻するのであって日本国全体が破綻するわけではありません。
JALが破産したとき、旧経営陣はクビになりましたが、飛行機の運行は継続し多くの一般社員はクビになっていないという例が載っていました。
日本国の財政破綻もそれと同じで、政治家や旧官僚のトップはクビになるが、行政サービスが全てなくなるということではなく、日本国が破綻したというイメージとは異なるものになります。
著者はむしろ日本を財政破綻させて、不明瞭な会計を明るみに出し、無駄な出費を抑えさて健全化させた方が良いのではないかと書かれていました。
なかなか過激です。
管理人は財政破綻しないで済んだ方が良いだろうと考えていますが、財政破綻という言葉で国民の恐怖を煽り消費増税するのはいかがなものかと思っています。
アメリカの赤字
資本主義経済の成長はアメリカの大量消費に支えられていますが、アメリカ国民は消費した金額より多くの借金を重ねています。
アメリカの一人あたりの消費はクレジットカード消費の分を除いたら日本並みかそれ以下になるとのことです。
ジム・ロジャーズも著書「危機の時代」の中で同じことを語っていました。
2011年時点のアメリカの赤字は70兆ドル、当時のレート1ドル=76円で計算しても5,000兆円です。
日本の財政赤字1,000兆円を悠に超えています。
日本が財政破綻しそうでヤバいと言われていますが、アメリカのヤバさはその比ではないのです。
ちなみに日本国は米国債を買っていますが、永久にホールドすることを余儀なくされているようです。
これが本当ならアメリカへの納税ですね。
それでもドルが基軸通貨な理由
国内の資本市場や商品市場を自由化し、アメリカという巨大なカジノに世界中の余剰資金を呼び込んだと書かれています。
金融工学を駆使して、何十倍ものレバレッジのきく金融商品が次々と生み出され、ヘッジファンドが投機を目的とした巨額の資金を流し込みました。
アメリカの実体経済から見れば、ドルの価値は下落していたはずですが、世界の投機家がドルを必要とすることから、為替相場は必然的にドル高になってきたとこことです。
資本主義は価値を増やし続ける運動で、実態とか使用価値とか関係なくなってしまうということは「100分de名著 資本論」にも書かれていました。
まとめ:お金の価値が絶対であるという洗脳から逃れる
FIREを目指すにあたり、まずはお金の価値が絶対であるという洗脳から逃れることが必要になると考えます。
そうしないと死ぬまでに使えきれない額のお金をひたすら増やすために、他の事を犠牲にして働き続けてしまうからです。
日本人は働くことに美徳を感じることの多い国民性ですが、それと労働に対して正当な報酬が与えられないこととは別です。
金持ちや資本家が圧倒的に労働者から搾取しやすい環境の中で働くということを見つめなおした方が良いと思うのです。
FIREの4%ルールの前提として、資本主義社会が存続し経済が成長し続けることがあり、アメリカの大量消費が経済を牽引しています。
しかしアメリカ国民は多額のクレジットカードローンにより大量消費を維持しており、サブプライムローン崩壊のようなことが行らないかは動向を見守った方が良さそうです。
資本主義社会が終わったらどうするのかという不安が湧いてしまうかもしれませんが、そのときは奴隷としてではなく真に自由に労働できる世界がやってきて、それはそれでハッピーなのだと楽天的に考えておきます。